東北六県大会観戦報告記(2日目)

囲碁

昨日に引き続き東北六県大会の観戦報告記を書き込みます。
今回は大会2日目です。

2日目の岩手県の組合せは以下の通りです。

●3回戦
岩手県-青森県
○まつひか-野口×
×K谷-嶋脇○
○N海-大橋×

N海さんは中盤の攻め合いを読み切り大優勢を築きました。
その後大橋さんの模様突入に対し冷静に対処し花見コウにしました。
コウダテで十分な得をし快勝でした。
K谷君は敗勢の碁を相手の一瞬の緩みから勝負形に持ち込み大石同士の攻め合いとなりました。
コウ付きの攻め合いだったのですが、早めにコウにしておけば相手のコウダテが続かずはっきり逆転していました。
コウにするタイミングが最悪だったので一発コウになりました。
相手からのコウダテが巨大で闇試合になりました。
その後もチャンスがあったように見えたのですが、捉え切れませんでした。
大魚を逃しましたね。
まつひかさんはヨセ勝負を制し昨年に引き続き難敵に勝ち切りました。
K谷-嶋脇戦が急に面白くなったので、終盤は見ていませんでした。
勝ったことを確認した時はホッとしました。
まつひかさんにとって最も重要な対局だと思っていたので。
これで山が県と共に3連勝となりました。

●4回戦
岩手県-宮城県
×まつひか-五十嵐○
○K谷-金澤×
○N海-高橋正×

K谷君は序盤から圧倒して快勝でした。
戦いの途中でシチョウが発生していたので、間違えていないかちゃんと確認しました。(笑)
N海さんは序盤から秘術を尽くすものの高橋正さんがキッチリ付いて行きました。
花見コウが発生して優勢になったと思っていたのですが、損コウがひどかったようで相手にかなりの実利を与えました。
また、N海さんが珍しく形勢を楽観していたようでした。
おそらくヨセに入った時には非勢だったと思います。
その後ヨセで抜き去り何とか勝ち切りました。
高橋正さんは今回も結果が出ませんでしたが、強豪相手に惜敗が2局あり大健闘でした。
まつひかさんは五十嵐さんの楽観に乗じ勝負形に持ち込みました。
中ヨセぐらいで秒読みに追われて3子を取られてしまいました。
2子を捨てる手順もあったとのことでこちらだと相当微妙だったと思います。
もっと早く気が付いていれば勝ちになっていたかもしれません。
いずれチームは勝って4連勝で同じ無く4連勝の山形との決戦になりました。

●5回戦
岩手県-山形県
×まつひか-太田○
○K谷-山崎弟×
○N海-斎藤×

N海さんは例によって序盤から積極的に仕掛けました。
しかし、斎藤さんが的確に対応しなかなか決まりません。
どうするのかなと見ていたら唯一入ってはいけない要石がシチョウで取られるコースに入ってしまいました。
シチョウで取った瞬間にN海さんがすぐにトイレに行くため席を立ったのですが、間もなく斎藤さんが自分のポカに気が付きました。
相手が戻って来る間の時間は辛い時間だったことでしょう。
戻って来てもすぐには投了せずに心の整理を付けてから1手も打たずに投了しました。
投了後は検討を一切行わずに石を片付けました。
斎藤さんの無念さを思うと掛ける言葉が見付かりません。
この碁は観戦記を書く予定なので、敗着の時にどう打てば良かったか確認します。
K谷君は相手の趣向布石に相手をせずに我が道を行っていました。
この発想が良かったのかいつの間にかK谷君ペースの展開になっていました。
山崎弟さんが攻め一本に懸けたのですが、K谷君が堂々とシノギ勝負を受けて生きれば勝ちの碁形となりました。
時間に余裕のあったK谷君がシノギを読み切り勝ち切りました。
さすがの山崎弟さんも20秒の秒読みでは難解な中盤は乗り切れませんでした。
検討しないと厳密には分かりませんが、K谷君にとっては色々な意味で会心の勝利になったと思います。
息子を破ったオジサンの強さに感動したのか、対局後に山崎父母さんがK谷君と山崎弟さんの記念写真を撮っていました。
まつひかさんは珍しく大模様の碁を打ったのですが、中盤で判断ミスがあり勝ちにくい碁形になりました。
その後は太田さんが冷静に打ち進め大差で逃げ切りました。
まつひかさんにとって力を発揮できる局面が全く訪れず不完全燃焼の碁だったことでしょう。
まつひかさんの負けを確認した時にはチームの勝ちは決まっていて既に祝勝ムードでした。
これで5連勝で3連覇になったのですが、ついに悲願の完全優勝を果たしました。
過去2年と違って文句なしの優勝です。

団体戦の結果は写真の通りですが以下にまとめます。

1位 岩手 5勝0敗 11得点
2位 山形 4勝1敗 11得点
3位 秋田 2勝3敗 9得点
4位 青森 2勝3敗 7得点
5位 福島 2勝3敗 4得点
6位 宮城 0勝5敗 3得点

今回は完全優勝ですが、得点を見て分かる通り大接戦でした。
決して抜けている訳ではなくチームワークの勝利です。
最大の勝因はどう見ても私とN海さんのフリカワリです。(笑)
昨年同様に初戦のくまち戦に勝ったのが大きかったですね。
あれでチームに弾みが付きました。
逆の結果になっていたらどうなっていたか分かりません。
2回戦の山形-秋田戦にも影響を与えたことでしょう。
上位3チームは数字以上に紙一重でした。
来年は4連覇が懸かり本格的に他県から追われる立場となりました。
山形県の成長が著しく現状維持では4連覇は難しいでしょう。
選手の皆さんは決して驕ることなく引き続き精進を続けて欲しいです。
他の選手も彼らに刺激を与えられる存在になりたいですね。
選手、監督の皆さん優勝おめでとうございます。
来週行われる祝勝会で改めて喜びを共有したいと思います。

コメント

  1. えどわーど より:

    あの、4回戦も岩手県ー青森県になっているのですが。
    私にコメントを書かせるためのkanさんの権謀術数でしょうか(笑)
    「権謀術数を巡らす碁」とは山形県のO田選手の紹介で使われていた表現で裏嶋太郎さんにめちゃ受けていました。

    最終戦は接戦でN海さんはハッキリ悪かったと言っていたそうですからシチョウ狙いを見破られていたら勝負はわかりませんでした。

    4連勝同士の決勝は劇的でシナリオでもあるかの様な展開でした。昨年は山形県に最終戦で3タテを喰らい背筋を凍らせられたので、今年は逆に三連勝でリベンジしたかったのですが、流石に山形は強く2勝1敗でもよくやったと思います。

    予想で岩手三連覇は当たりですが、準優勝は外しました。上位三チームは紙一重の差なので致し方なしです。

    山形のO田ジュニアが出てくると岩手はますます窮地に立たされますので早くプロになってくれることを祈るしかありません(笑)

  2. えどわーどさん、早速のご指摘ありがとうございます。
    上司に文章の推敲をさせている気分です。(笑)

    N海-斎藤戦はN海さんの良くなる図が見えずハラハラしていました。
    まさかあの結末が待っているとは。
    あの形でシチョウになるのは実戦では見たことがありません。
    O田ジュニアが出て来るまで5年はかかりそうです。
    今はY崎兄弟の成長が脅威です。
    Y崎兄さんの懇親会のスピーチの通り兄弟で出場する日も近そうです。

  3. くまち より:

    更新ありがとうございます。後々も思い出せるのでありがたいです。
    そして大会関係者の皆様お疲れ様でした。

    私自身は昨年に続き岩手県メンバーに敗れての4勝1敗。岩手県チームの2連覇、3連覇に僭越ながら貢献させていただいております、来年も貢献できるようまずは出場を目指して頑張ります😛

    当てにいった予想でしたが、5-0前提は強気すぎたか。。

  4. くまちさん、早速リクエストに応えていただきありがとうございます。
    これでこの記事の参照数が伸びます。笑

    私も当ブログを過去の記事を読み返すのに利用しています。
    # PCからだと本当に便利です。

    個人戦2位は熊地さんにとって不本意な成績だと思いますが、常に4勝以上を挙げる安定感はさすがです。
    今週末はいよいよ朝日アマ名人戦全国大会ですね。
    くまちさんの健闘をお祈りしています。

  5. AYAMI より:

    東北六県大会、皆さまお疲れ様でした!

    岩手の3連覇、おめでとうございます(^^)
    終わったので書くと、実はN海さんと5月にオンラインでお手合わせいただく機会があり、短手数でフルボコにされたのですが(笑)、くまちさんも討ち取られてしまいましたね……(>_<)

    仕事で棋譜を拝見する機会に恵まれたので、kanさんのレポートを再読してから見させていただきました(笑)
    岩手戦が回ってくるかはわかりませんが、観戦記を書くときも雰囲気的なものを感じながら書けるので、ここでのレポートはありがたいです。

    私は代表を狙うのは難しいポジションですが、ラッキーパンチを夢見て頑張りたいと思います!(笑)

    • AYAMIさん、祝福ありがとうございます。
      3連覇は狙っていましたが、実現するとうれしいですね。
      二日目の昼食時にAYAMIさんが居なかったのが勝因でしょうか。(笑)

      私のレポートはかなり自分の見たところに偏っていますが、お役に立てれば幸いです。

      私も同様に代表を狙うのは難しいポジションです。
      しかも岩手は3連覇中なので代表になると重圧が掛かります。(笑)
      でも、いつの日か東北六県大会で再戦できると良いですね。

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